家庭菜園

第4章 野菜別栽培ガイド:4.3 根菜類の栽培

根菜類は地下部を食用とする野菜で、栽培には土づくりが特に重要です。家庭菜園では秋から冬にかけての栽培がおすすめで、寒さに強く、比較的病害虫の被害も少ないのが特徴です。今回は、代表的な根菜類の栽培方法について、詳しくご説明します。

大根の育て方

大根は日本の食卓に欠かせない野菜です。種まきから収穫まで約60日かかりますが、栽培自体は比較的容易です。

土づくりのポイント

土づくりは大根栽培の最重要ポイントです。耕深45cm以上、pH6.0-6.5が理想的です。堆肥は完熟したものを1平方メートルあたり2kg程度すき込みます。硬い土の場合は、砂や腐葉土を混ぜて軟らかくします。化成肥料は窒素を控えめにし、リン酸とカリウムを多めに施します。

栽培スケジュール

種まきは9月上旬から中旬が最適期です。条間45cm、株間30cmを目安に、1ヶ所2-3粒をまきます。覆土は1-2cmとし、発芽までは土が乾かないよう注意します。発芽後、本葉2-3枚の時期に間引きを行い、1本立ちにします。

生育期の管理として重要なのは水やりです。特に発芽から活着までの時期は土が乾かないよう注意が必要です。ただし、根が張り始めてからは、水のやりすぎに注意します。土の表面が乾いたら、たっぷりと与えるのが基本です。

にんじんの育て方

にんじんは栄養価が高く、保存性も良好です。ただし、発芽までに時間がかかり、初期生育も遅いため、栽培には少し手間がかかります。

土づくりと種まき

土は大根同様、深く耕します。石などの障害物は丁寧に取り除き、砂質の土壌が理想的です。粘土質の場合は、砂を混ぜて改良します。化成肥料は1平方メートルあたり80g程度を目安とします。

種まきは春と秋の2回が可能です。春まきは3月中旬から、秋まきは8月下旬から9月上旬が適期です。条間20cm、深さ5mm程度の浅い溝を作り、すじまきします。発芽を促すため、覆土後は板で軽く押さえ、土と種子を密着させます。

生育管理のコツ

発芽までは絶対に土を乾かさないことが重要です。発芽後、本葉2-3枚の時期に間引きを行い、株間5cm程度にします。さらに生育が進んだ段階で、最終的に株間10cmとなるよう、2回目の間引きを行います。

追肥は1回のみで、間引き後2週間程度経過してから行います。過剰な追肥は根の分岐や割れの原因となるので、控えめにします。

かぶの育て方

かぶは生育が早く、種まきから40-50日で収穫できます。初心者向けの根菜類として最適です。

基本的な栽培方法

土づくりは大根ほど深く耕す必要はありませんが、20cm程度は必要です。堆肥は1平方メートルあたり2kg程度すき込みます。肥料は窒素を控えめにし、カリウムを多めに施します。

種まきは春と秋の2回可能です。春まきは3月中旬から、秋まきは9月上旬から中旬が適期です。条間30cm、株間15cmを目安に、1ヶ所2-3粒をまきます。覆土は1cm程度で、発芽までは土が乾かないよう管理します。

かぶの生育管理

発芽後、本葉2枚の時期に間引きを行い、1本立ちにします。水やりは土の表面が乾いたら行い、特に根の肥大期は水切れに注意します。追肥は株元から10cm程度離して施し、土寄せを行います。

収穫と保存方法

【大根】 収穫は種まきから60-70日が目安です。葉の付け根部分が3-4cm程度地上に出てきたら収穫適期です。収穫は、土を深く掘り、根を傷つけないよう注意して引き抜きます。保存は葉を切り落とし、新聞紙に包んで冷蔵庫で保管します。1ヶ月程度保存可能です。

【にんじん】 収穫は春まきで90日、秋まきで100日程度が目安です。肩が1-2cm地上に出てきたら収穫できます。収穫は土を深く掘り、根を傷つけないよう慎重に行います。保存は葉を切り、砂に埋めて保存するか、ポリ袋に入れて冷蔵保存します。砂保存なら3ヶ月、冷蔵なら2週間程度持ちます。

【かぶ】 収穫は種まきから40-50日が目安です。球径が5-7cmになったら収穫適期です。早めの収穫を心がけ、大きくなりすぎないようにします。保存は葉を切り、ポリ袋に入れて冷蔵保存します。1週間程度保存可能です。

よくある失敗と対策

【発芽不良】

  • 原因:乾燥、播種深度の問題
  • 対策:発芽まで土の乾燥防止、適切な播種深度の確保
  • 予防:マルチ資材の活用、温度管理の徹底

【根の曲がり・分岐】

  • 原因:土の硬さ、石の混入、肥料の偏り
  • 対策:深耕、石の除去、均一な施肥
  • 予防:入念な土づくり、適切な肥料配合

【虫害】

  • 原因:アブラムシ、ネキリムシなどの害虫
  • 対策:早期発見と適切な防除
  • 予防:防虫ネットの設置、輪作の実施

【栽培時期別の注意点】

春まき栽培:

  • 抽台(とう立ち)防止のための適期播種
  • 温度管理の徹底
  • 水やりの調整

秋まき栽培:

  • 発芽時の温度確保
  • 防寒対策の実施
  • 適切な水分管理

【収穫期の判断】 根菜類は適期収穫が特に重要です。収穫が遅れると、以下のような問題が発生します:

  • 肉質が硬くなる
  • 食味が低下する
  • 病害虫の被害を受けやすくなる


    次回は、ハーブ類の栽培について詳しくご説明いたします。