家庭菜園

第4章 野菜別栽培ガイド:4.2 果菜類の栽培

果菜類は家庭菜園の花形とも言える野菜です。収穫期間が長く、一度の植え付けで長期間楽しめるのが特徴です。ただし、栽培には一定の技術と手間が必要となります。今回は、代表的な果菜類の栽培方法について、詳しくご説明します。

ミニトマトの育て方

ミニトマトは、一度植えれば3-4ヶ月の収穫が楽しめる人気の果菜類です。育苗から収穫までには約90日かかりますが、その後の収穫期間が長いのが特徴です。

まず育苗ですが、3月中旬から4月上旬が種まきの適期です。9cmのポットに市販の育苗用土を入れ、種を1-2粒まきます。発芽適温は20-25℃で、この温度を保つことで5-7日で発芽が見られます。育苗期間は30日程度必要です。

定植は本葉が5-6枚になった時期に行います。プランターの場合、一つのプランター(65cm)に2株程度が適量です。株間は45cm程度空け、支柱は高さ180cm程度のものを用意します。植え付けの際は、根鉢を崩さないよう注意し、植え付け後はたっぷりと水を与えます。

栽培のポイントは、誘引と脇芽かきです。つるが30cm程度になったら、支柱に誘引紐で緩めに固定します。脇芽は早めに摘み取り、主枝を1本か2本に限定して育てます。また、下葉は黄色くなったら適宜除去し、風通しを良くします。

追肥は、最初の花房が咲き始めてから2週間おきに行います。液体肥料を薄めて与えるのが一般的で、特にカリ肥料を多めにすることで、甘みのある実が収穫できます。

きゅうりの育て方

きゅうりは生育が早く、栽培開始から40日程度で収穫が始められます。特に夏場は生育が旺盛で、毎日の収穫が必要なほど実がなります。

植え付けは、春作の場合4月中旬から下旬が適期です。培養土と堆肥を混ぜ、1株あたり3リットル程度の土を用意します。プランター栽培の場合、65cmのプランターに2株が標準です。

支柱立ては定植と同時に行い、高さ180cm程度のものを斜めに設置します。きゅうりは巻きひげで支柱に絡みますが、最初のうちは誘引紐で緩めに固定すると良いでしょう。

水やりは非常に重要で、特に果実肥大期は土が乾かないよう注意します。朝夕の2回、たっぷりと与えることをお勧めします。追肥は、最初の果実が親指大になった頃から10日おきに行います。

病害虫対策としては、うどんこ病とアブラムシに特に注意が必要です。予防として、風通しを良くし、株元は乾燥気味に管理します。また、防虫ネットの設置も効果的です。

なすの育て方

なすは暑さに強く、夏の家庭菜園の主役となる野菜です。定植から収穫開始まで60日程度かかりますが、その後は9月頃まで継続的に収穫できます。

育苗は3月上旬から始めます。発芽適温は25℃前後で、暖かい場所で管理します。本葉が5-6枚になった時点で定植しますが、この時期はまだ気温が低いため、不織布などでの保温対策が必要です。
定植後の管理で重要なのが、整枝と摘芯です。主枝が60cm程度になったら先端を摘み取り、その下から出る2-3本の側枝を伸ばします。これにより、バランスの良い樹形が保て、管理もしやすくなります。

追肥は、最初の果実が見えてきた頃から2週間おきに行います。化成肥料や液肥を使用しますが、多すぎると徒長の原因となるため、控えめに与えることがポイントです。

収穫と保存方法

【ミニトマト】 収穫は完熟を待つのが基本ですが、真夏は8分程度の色づきで収穫しても追熟します。朝の涼しい時間帯に収穫するのが理想的です。保存は常温で7-10日、冷蔵なら2週間程度可能です。ヘタを上にして保存すると、日持ちが良くなります。

【きゅうり】 収穫適期は20cm程度ですが、家庭菜園では15cm前後で収穫するのがおすすめです。朝夕の収穫を心がけ、見落としがないよう注意します。保存は新聞紙で包んで冷蔵庫で保管し、1週間程度持ちます。

【なす】 果皮に艶があり、ヘタが緑色で張りがある状態が収穫適期です。果実が大きくなりすぎると、種が多くなり食味が低下します。保存は常温で2-3日、冷蔵で5-7日程度可能です。

よくある失敗と対策

果菜類の栽培でよく見られる失敗として、以下のようなものがあります:

  ①着果不良

  • 原因:受粉不足、温度管理の問題
  • 対策:朝の軽い株揺らし、適温管理(20-30℃)
  • 予防:虫の活動を促す環境づくり

  ②葉の病気

  • 原因:高温多湿、換気不足
  • 対策:早期発見と罹患部の除去
  • 予防:適切な株間確保、風通しの改善

  ③実の割れ・変形

    • 原因:水分管理の不均一、急激な温度変化
    • 対策:定期的な水やり、遮光による温度管理
    • 予防:マルチング材の使用

    最後に、季節別の注意点をまとめます:

    【春期】

    • 寒暖差対策として不織布の活用
    • 風対策のための支柱の補強
    • こまめな病害虫チェック

    【夏期】

    • 朝夕の水やりの徹底
    • 遮光ネットでの温度管理
    • 追肥と整枝の継続

    【秋期】

    • 台風対策としての支柱補強
    • 病害虫の集中的な防除
    • 草勢維持のための管理

      次回は、根菜類の栽培について詳しくご説明していきます。